4. 税金と保険のこと
税金も保険も、サラリーマンの時は会社の人事、総務、経理部が事務処理をやってくれる。給料明細を受取っても、見るのは手取り金額ぐらいで、税金や保険の内容や金額については無関心ではなかっただろうか。(入院でもしない限り、社会保険のありがた味を実感することもないし...)
しかし、独立すると、手続きからその支払いまでを、全て自分でやることになる。
サラリーマン時代と比較して、税金や保険の仕組みがどう変わるのかを簡単な表にまとめてみたので、是非独立する前にその基本的な部分をチェックしておきたい。
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個人事業主 |
サラリーマン |
課税対象 |
事業所得
(売上−必要経費−各種控除額) |
給与所得 |
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所得税 |
前年1年分の事業所得を計算し確定申告を行い、所得税を自己申告する。納税は1年分をまとめて3月15日までに行う。 |
毎月の給料から源泉徴収され、年末調整で過不足を精算する。 |
住民税 |
前年の確定申告書をもとに算定され、納付書が送られてくる。
★前年の所得に対する課税のため、退職した翌年、収入のない時期にドーンと住民税の請求がくる場合がある。 |
前年の給与所得をもとに算定され、翌年の給与から天引きされる。 |
事業税 |
事業所得が290万円までは免税。
算定式:(前年の事業所得−各種控除−事業主控除額290万円)×税率5% |
なし |
消費税 |
売上高1000万円を超えると納税する義務がある。1000万円以下は免税。*1 |
なし |
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年 金 |
国民年金へ加入する。
1ヵ月1万3300円の定額支払い。 |
厚生年金へ加入。
毎月の給与から天引きされる。 |
健康保険 |
国民健康保険へ加入する。
前年分の所得に応じて保険料が決定する。
★前年に退職し、高給だった場合は、それに対する保険料だからそれなりに高いゾ。 |
所属の会社、団体による健康保険に加入、毎月の給与から天引きされる。 |
雇用保険 |
なし
★「備えあれば憂いなし!」
積立てや保険加入を考えよう。
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失業時に給付される保険、毎月の給与から天引きされる。 |
労災保険 |
業務上又は通勤災害による傷病、死亡等を対象に給付される。 |
‖ ‖
実質的な
収入 |
売上から上記項目を差し引いた
残金額 |
給与の手取金額 |
*1 個人事業主の消費税は平成17年分から新ルールへ改正:平成15年の課税売上高が1,000万円を超えると、平成17年からは消費税の課税事業者となり、申告納付が必要となる。
・平成15年分:現ルール:平成13年の課税売上高が3,000万円以下なら免税
・平成16年分:現ルール:平成14年の課税売上高が3,000万円以下なら免税
・平成17年分:新ルール:平成15年の課税売上高が1,000万円以下なら免税
消費税の改正 ≫ http://www.actax.jp/2003kaisei10.htm
上記の表から、給料感覚で売上金を使ってしまったら大変なことになるのが、お分かりいただけただろうか。
5. 確定申告は青色がお得!
確定申告を行うための基礎資料として、「帳簿の記帳」が義務付けられている。(想像しただけでも面倒臭そーー?)しかしこれは、税務署のためだけでなく、どんぶり勘定(儲かっているのかどうか分からない状態)で仕事をやってしまわないためにも必要な作業といえる。特に、1人で始めても、スタッフを雇うことを視野に入れている方や、近い将来法人化する予定の方は、最初は自分でやってみることをお勧めする。
まあ、現金出納記録と領収書を税理士さんへ渡して全てやってもらうのも手だが、仕事が増えてそんな暇がなくなるまでは自分でやろう。数字をつかむ感覚を、養うためだ。一番お手軽は経理ソフトを購入する方法だが、時間がある方は、手持ちの表計算ソフトで各帳簿のフォーマットを使いやすく作ってみるのもいい。
さて、確定申告には青色申告と白色申告とがある。結論から言えば、節税できる青色が絶対に得だ。では、なぜ皆が青色申告しないかというと(税務署の広報によると、約40%の人が白色とのこと)、こむずかしそうな帳簿の記帳義務があるからだ。白色は?と言えば、それがないように思われがちだが、実は大間違い。多かれ少なかれ記帳するなら、節税の特典がたくさん付いてる青色でやろう。
具体的に青色と白色の違いは、次の通り。
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青色申告 |
白色申告 |
記帳の義務 |
原則:正規の簿記による帳簿の記帳
代替:以下の簡易帳簿でもOK。
1. 現金出納帳
2. 経費帳
3. 売掛、買掛帳
4. 固定資産台帳
★税務署で申込むと、無料の記帳指導が受けられる。税理士さんが自宅まで来て、丁寧に教えてくれたりする。利用しよう! |
原則:事業所得が300万円を超える場合に記帳の義務が発生する。
★300万円以下なら帳簿はいらないかというと、現実的に帳簿をつけないで必要経費はつかめないから、やはり帳簿がないとダメ。 |
決算書の作成 |
「損益計算書」「貸借対照表」の作成 |
「収支内訳書」の作成 |
特 典 |
青色申告の主な特典は以下の通り。
1.青色申告特別控除
最高65万円の控除 *1
2.専従者給与の必要経費全額参入
3.貸倒引当金の設定
4.純損失の繰越しと繰戻し *2 |
白色の場合は、一定額まで。
1.特別控除
2.専従者の必要経費 |
申請手続 |
青色申告:「青色申告承認申請書」
家族に給与を支払う場合:「青色事業専従者給与に関する届出書」 |
特になし |
※制度の内容は、年度で改正があるので要注意。
*1 平成17年分より、正規の簿記による記帳を行い、「損益計算書」+「貸借対照表」(決算書類)を期限内に提出した場合は、最高65万円の控除を受けられる。
*2 赤字が出たら、前年又は翌年以降3年間の黒字年度の所得と相殺できる。
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