Action! Report  No.3:市場環境を調べる No.1

 
2.「事業計画書」を作成する手順

 2-3 計画書作成に必要な要素やデータを集める
 市場環境を調査する


 
キャラクターの出身地別カテゴリー

事業の対象とするマーケットの内容・規模、ニーズ、競合他社の状況、市場動向等を調べていく訳だが、先ず、取り組もうとしている事業の全体像をマクロから俯瞰してみようと思う。(→下図)キャラクタービジネスは、複数の業界の間で展開されている。

 

人気キャラクターの出身地を見ていくと、色々なカテゴリーから輩出されている。これまでは、コミックがTVアニメ化され人気を得る、という図式が主流であった。そこへTVゲームが登場してきて、出版、TV、ゲーム業界がメディアミックスによりキャラクター展開するシステムが出来上がってきている。“ポケモン”が、最強の例だ。

一方、オリジナルキャラクターで頑張っているのが、“ハローキティ”を代表とするサンリオなどのファンシー・キャラクター業界だ。サンリオは、自社流通(全国に約3000店鋪)によってマス媒体にたよらない展開を図っている。

この他、企業コマーシャルのマスコットキャラクター、絵本の登場キャラクター、人気タレントをキャラクター化したものがある。一時期流行した、ファッションやスポーツブランドのロゴ(商標)もライセンスという意味から、キャラクターの範疇に入れている。

このような人気キャラクターは、様々なキャラクター商品としてグッズ化されたり、企業コマーシャルに採用され、販促の景品等に姿を変えていく。その市場は、今や日本国内にとどまらず、アメリカにおける“ポケモン”の成功、アジア各国における日本のキャラクター人気、とワールドワイドに通用するコンテンツとしてグローバル化している。

キャラクターの出身地別カテゴリーによる、商品化ビジネスの市場規模は以下の通り。テレビは高い比率を示しているが、各ジャンル間のひらきは少なくなってきているとのことだ。映画の数値が次に高いが、これはディズニーが含まれるから。TVゲームの伸長にはポケモン人気がうかがえる。CMや玩具はその他に含められている。

キャラクター商品の出身地別市場規模(1998年度)

グラフ4
資料:「キャラクター・ライセンシング白書2000年版」綜合ユニコム株式会社

 

“キャラクター市場規模、世界1!”を支える日本特有の文化

国別のキャラクター市場規模を見ると、なんと日本が世界1。世界で一番、キャラクター好きな民族といえる。では、なぜ?

国別キャラクター市場規模比較

グラフ3
資料:「ライセンスブランド&キャラクター名鑑2000」ボイス情報株式会社

 

なぜ、日本でそんなにキャラクターが受けるのか? そのポイントをピックアップすると...。

キャラクターが受ける理由

1)日本独自の「コミック文化」
前述したキャラクターが生まれるルーツの中で、一番ポピュラーなものがコミック。日本では、子供だけではなく、大人も読んでいる。(これは外人から奇異に映るらしい)

2)コミック好きな大人たちのリーダー「第1次アニメ世代」
昭和30年代〜40年代生まれで、現在20代半ば〜40代半ばの人々。テレビアニメを見て育ち、いつまでもコミックを愛する世代。親になっても、ということで子供と二世代で楽しんでいる。

3)ブームをつくる女子高生・OL文化の“かわいい!”
とにかく何でもかんでも“かわいい!”で表現してしまう最近の傾向だが、女性は元来キャラクター、特にかわいいものが好き。かわいい!のテイストが時代と共に変化しても、基本は変わらない。(母性かなぁ〜?)

4)キャラクターが持つホッと和む“癒し効果”
癒しは時代のニーズ。イライラ、ギスギスと人間関係にストレスを感じた時、心をなごましてくれる可愛いヤツ。ペットブームもその延長で、動くキャラクターというところだろうか。

という訳で、日本にはキャラクターを産み出すコミック文化と、それを受け入れる市場が存在している。そして、キャラクターで育った親たちが、その子供たちとキャラクターを2世代に渡って共有。その間に位置する女子高生やOLは、かわいいキャラクターを好む。こうした日本特有の文化的背景が、キャラクタービジネスを育む大きな土壌となっているようだ。

 

政府もキャラクター産業に着目、支援!?

参考資料を読む中で、ちょっと驚いたのが、今や国が奨励する産業分野になっていたことだ。日本の産業がハードからソフトへ転換する、その先駆けとなる役割を期待されている。

1)国土庁(96年度)研究会による「東京圏における文化都市づくり」への提言
同研究会は、従来の都市開発が抱えている問題点を解決し活性化する方策として、「都市の活性化に必要な文化機能」を提言。その中で国際競争力を有する文化機能として“アニメーションやゲームソフト”にスポットを当てた。

2)通産省は97年度に「デジタル・アニメーション研究会」を発足
「デジタル時代におけるアニメ産業の振興」を目的に、アニメ産業の調査を開始。通産省は日本のアニメは世界的に通用するととらえており、作品そのもののビジネスに加え、キャラクターを利用したさまざまなビジネスの可能性に注目している。
日本経済は成熟期に入り、これまで経済を牽引してきた産業に代わる新産業の創出が求められている。このため、通産省は95年から従来見向きもしなかった産業について様々な支援策を打ち出している。アナログからデジタルへ、コンテンツやサービスへと主力産業が変化していく中で、選ばれたのがアニメ産業なのである。

資料:「アニメ・ビジネスが変わる」日経BP社 技術研究部編 1999年 
 


 

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