雇われない生き方を目指す人の必修科目! クリエイターのための自営学
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 2-2 計画書作成に必要な要素やデータを集める
  2-2-1 市場環境を調査する
 
≫2-2-2 商品やサービスの相場価格を調べる
 ≫2-2-3 必要経費を洗い出す

 ※次ページ
≫2-3 「事業計画書」を書く、その前に!
 2-3-1 事業目的を再確認する
 2-3-2 事業ドメインを再検討する
 2-3-3 「事業計画書」の構成
≫2-4 事業計画を検証する
<作成予定>

 

2-2 計画書作成に必要な要素やデータを集める

2-2-1 市場環境を調査する

「必要は発明の母」なら、市場ニーズは事業の生みの母。こんな商品・サービスがあったら便利だと思う人がたくさんいることが分かれば、それは市場ニーズがあるということだ。そして、まだその商品・サービスを提供する企業がない、またはあっても充分でなければ、その不足している部分にビジネスチャンスがあるというもの。そこへリンクした事業プランであれば、有望なビジネスとなるはずだ。

そんな、うまい話がそうそうあるわけはないが、自分の事業アイディアが、少なくとも採算が取れるだけの市場性を持ち、競合他社と比較して優位なポイントを持っていることを立証していかなければならない。その裏付けとなる、データや情報を集める作業が市場環境の調査ということになる。調査のポイントは以下のような視点となる。

市場性:対象とする市場にどれだけ顧客が存在し需要があるのか。
市場規模:事業の採算がとれるだけの市場が形成されうるか。
市場ニーズ:対象とする市場・顧客のニーズはどんなものか。
対応力:提供しようとする商品・サービスは、そのニーズに合致するか。
事業環境の変化を分析して未来予測の視点を持つ。
1)一般環境:世の中がどう変化していくのか。
2)市場環境:対象市場、顧客の量、ニーズがどのように変化していくか。
3)競争環境:競合との位置関係、競争要因がどのように変化していくか。
4)技術革新:技術革新が事業へどう影響を与えるか。
5)産業構造:業態、規制緩和、協業化、産業体制等の構造変化はどうか。

↓↓↓

以上の視点から各情報、データを分析・評価することで、市場におけるビジネスチャンスをどこに見い出すか、また事業環境にどんなリスクや障害があるのか(予測されるか)を把握する。 

この調査で得られた情報やデータは、後に営業戦略を具体的に立案したり、資金調達のために金融機関や出資者を説得する場合に不可欠な要素となる。大切なのは、情報を集めるだけでなく、具体的な数字の裏付けとともに、現状と将来性を冷静に分析していくことだ。

では、調査の対象となる情報やデータはどこで入手できるかというと、以下のような情報源があげられる。

市場調査の情報源
・官公庁の調査統計データ
・各業界団体の調査統計データ
・各市場調査会社の調査報告書
・書籍、雑誌
・テレビ、ラジオ、新聞(業界紙)
・インターネット(*以上の情報がインターネットからも収集できる。)
・業界通の人からの情報
・独自調査(アンケート、取材)

また、調査の取っ掛かりがつかめないときは、以下の公的機関の相談窓口で指導を受けたり、資料センターや図書館等の相談サービスを積極的に活用しよう。




(財)東京都中小企業
 振興公社
 shien@tokyo-kosha.or.jp
 (東京都中小企業支援センター)
 03-3251-9601
ワンストップ総合相談窓口を開設。事業を始めたいと考えている人を対象に、中小企業診断士、税理士等の専門家が、創業に際してのステップ指導、事業計画書指導、資金の調達、収支計画、会社設立指導等を行っている。電話相談(FAXも可)、来所相談の他、Eメール相談もあるので、これは便利。
東京都商工会連合会
 広域指導センター室
 (多摩地区中小企業支援センター)
 042-525-6821
独立、開業に関する各セミナーの開催、指導を行っている。「新規開業応援セミナー(無料)」「創業支援セミナー(資料代5000円)」「創業塾(無料)」などがある。創業準備の知識編としては、充実した内容となっている。希望者には個別相談会もある。




東京商工会議所
 経済資料センター
 03-3283-7690
会議所の創立時(明治11年)からの調査資料などをはじめ、経済・企業・経営関係の書籍、各官庁の基礎統計類、社史・団体史、各種業界名簿、商工名鑑、全国の電話帳を所蔵。また、産業経済誌、業界紙も多数有り。入管閲覧料は一般200円。
国民生活センター
 情報資料室
 03-3443-6211
消費者問題を中心とした国民生活に関する図書、資料、統計等を収集し、公開している。5万件以上の蓄積文献情報をご自分で検索でき、開架式なので自由に閲覧できる。
東京都立中央図書館 
 03-3442-8451
調査・研究のための参考調査図書館。基本的にマーケティング・リサーチ資料は所蔵していないが、その周辺情報の収集に役立つ。開架式なので探しやすい。電話によるレファレンスも行っていて、とても親切だ。
国立国会図書館
 書誌情報(Web-OPAC)の検索
 03-3581-2331
国立国会図書館が所蔵する和図書データ(約200万件)、および洋図書データ(約20万件)を検索することができる。書名や副タイトルからのキーワード検索ができるので関連資料を探すのに便利。しかし、蔵書は全て書庫に保管され、貸出し制限が何かと多いので、下調べをしていかないと時間のロスが大きい。


Action! Report

No.3: 市場環境を調べる Update:2001.9.07
予想から組立てた「事業アイディア」を検証、検討しながら、市場に関する資料にあたる。マクロ的に市場の規模や動向を知ることが出来た。念頭にあるのは、事業領域をどこに置くか(ビジネス・チャンスはどこに?)だ。

 
2-2-2 商品やサービスの相場価格を調べる

市場調査と同時に、事業で取扱う商品やサービスの相場価格を調べておかなければいけない。売り値と仕入値(原価)を調べておく。後に適正価格を割り出し、価格を設定する際の参考にするためだ。

適正価格を割り出す作業は、設定した価格と売上予測、原価、経費などを当てはめて収支予測をシミュレーションし、その価格が適正であるかどうかを判断していくことになる。販売価格から原価を差引いたものが粗利となり、この数字の設定で利益率はいかようにも変化するので、ここに現実的な数字をもってこなくてはならない。そのために情報収集が必要になるわけだ。

 
2-2-3 必要経費を洗い出す

必要経費は、2つに分けられる。1つは、事業開始時に必要な「初期コスト」、もう1つは、開始後毎月かかる「ランニングコスト」だ。入ってくるお金は未知数でも、出ていくお金の方は決まっているから、モレがないよう、また少なく見積らないよう、できる限り現実的な数字を算出しておきたい。これら必要経費の数字は、後に行う収支予測や資金計画のところの基礎データとなる。

 

■ちょっと追記:タイアップ方式のマイクロビジネスモデル!

ここでちょっとお話ししておきたいが、私が取り組もうとしている事業計画は、“マイクロビジネスモデル”であって、金融機関からドーンと資金を借りて、ハイリスク/ハイリターンなものを考えているわけではない。それより、頭とフットワークとネットワークを使って、手元にある微々たる資金をいかに使わずに組立てられるかが勝負だ!、と考えている。

これは、以前から取り組んできた、流通とメーカー各社に参画いただいてイベントをつくる「タイアップ方式*1」の考え方に基づいている。これは、イベントスペースと動員力をもつある大規模小売店が、販促カレンダーに従い、販促テーマ(商品)を訴求するイベント展開を行いたいと考えていた。しかし、イベントの実施にはかなり経費がかかり、充分な経費予算がない。その一方で、店内に売場を持つメーカーは、流通の現場で、いかにお客様に商品を売るかという営業販促を考えて試行錯誤していた。そこで私は、その大規模小売店とこの件に関するエージェント契約を結んで、各企業間をコーディネートし、参画企業にとってメリットのある企画を立てて、販促イベントの企画制作を請け負った。

つまり、事業の要素を、メリット交換・共有できる参画メンバーで形作っていこうというものだ。最近流行りの経営戦略用語でいうと、ネットワーク型コラボレーションのコーディネート型*2やアライアンス型*3に共通する考え方だと思っている。

実は、この考え方の基本は、独立当時(1985年)から変わっていない。当時は、理想的な組織論で終っていた。しかし、パソコンとインターネットを活用することで、個人でもそれが可能な世界が出現してきた。この時期をとらえて、理想的な組織創造へ再度挑戦したいと考えている。

 
*1 SPRタイアップ方式:1980年代後半にイベントブームというのがあり、その当時に創刊された「日経イベント」にこのタイアップ方式が評価され、5ページに渡って掲載してもらったことがある。

*2 コーディネート型コラボレーション:組織と組織、組織と個人、あるいは個人と個人を結んでネットワークを形成し、テーマやビジネスの内容に応じて柔軟にネットワークの中から最適な企業を選出し、複数の参加メンバーを取りまとめて有機的な集合体を形成して新たな付加価値をプロデュースしていくこと。組織化や組織運営に関して高い編集能力が要求される。

*3 アライアンス型コラボレーション:連携する企業がお互いに自社の強みの発揮と機動性を確保しながらコアコンピタンスを充分に発揮し、かつ尊重しあうことで事業リーダーのプロデュース力のもと仮想的に組織の連携状態を形成して、新しい付加価値を生み出す事業構造を創造する活動のこと。

*2、3は「企業診断」1999 7月号 特集記事/コラボレーションによる経営革新 より引用。


<参考文献>
・「やさしい会社設立計画」吉田彰男/取材・文 雑誌特集記事
・「これだけは知っておきたい起業・独立スーパーガイド」アントレ1997 8月号 特集記事
・「事業計画書の書き方・まとめ方」増木清行著 ぱる出版

 

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