第1回 |
「青色申告」の手続から、会計ソフト選びまで |
“「青色申告」って、何?” と、素朴な疑問を持っている方も多いと思います。はじめに、フリーランス(個人事業主)になると、所得税の申告がどうなるのか、正しく理解するところからお話をスタートします。
■そもそも「青色申告」とは?
「年収」に応じて税金を払う、これ、原則です。では、独立してフリーランスになるとどうなるか? 会社員のように定額給料制ではないので、この“年収”に当るその年の「所得」は、年末に収支を計算するまでは分からないのです。
と言う訳で、「売上」と「経費」を日々帳簿につけて管理し、年末に帳簿を締めて、いくら「利益」が出たかを計算します。つまり自分で決算をして、所得を申告し、所得税を支払います。(※この所得の申告を元に「住民税」や「健康保険料」が計算され、翌年に請求書が届く仕組みです。)
この所得税の申告方法に、「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。
日々の経理業務において、青色申告の方が、複式簿記でよりキチンと帳簿をつけることが義務づけられています。その分、様々なメリットがあり、最高55万円(*)までの所得控除が得られるというものです。
*青色申告特別控除額には、帳簿の種類や提出書類の有無によって、10万円、45万円、55万円の3通りがあります。税制改正により、平成17年分の申告から、最高控除額が65万円に引き上げられます。また、今まで簡易簿記によって45万円の適用を受けていた方は、控除額が10万円となりますのでご注意下さい。
■税金が安くなる!!
青色申告には、なんと40以上のメリットがあります。中でも主なメリットは以下の通りです。要するに、税金が安くなる優遇措置が色々あるということです。
・必要経費以外に最高65万円の控除が受けられる
・赤字が出たらその損失分を繰越しできる
・家族への給料が必要経費にできる(→「届出書」の提出が必要)
・特別にその年だけ収入が増えた場合「平均課税制度」が利用できる
(※著作権に関わる印税収入がある人には恩恵有り。)
以上は実利メリットですが、その他に以下のようなメリットがあります。
★税務署へ申告内容がすんなり通る(これが帳簿の威力!)
★仕事を計数管理することで、ホントに儲かっているのか、事業として成り立っていけるかどうか、経営者としての意識が芽生える(これって重要!)
■「青色申告」の手続は?
青色申告をするためには、手続が必要です。最寄りの税務署へ行って「所得税の青色申告承認申請書」の用紙をもらい、必要事項を記入して提出すればOK!です。
ただし、以下のような提出期限があるので、今から“節税できるなら、青色申告にしたーい!”と思っても出来ない場合があるのでご注意を。届出を忘れていた方は、今年は白色申告し、来年3月15日までに手続をしましょう。
▼新規開業の場合の提出期限:
1月1日〜1月15日までに開業 → その年の3月15日まで
1月16日以降に開業 → 開業日から2ヶ月以内
※白色申告から青色に切り替える場合の提出期限:
青色申告をする年の3月15日まで
■「青色申告」するために必要なことは?
青色申告するのに義務付けられていることは、以下の通りです。
1. 正規の簿記(複式簿記)によって帳簿を付ける
2. 決算を行い、「損益計算書」と「貸借対照表」を作成する
3. 必要経費の領収書を整理し保管する(7年)
4. 取引を記録した書類(納品書、請求書、発注書、受注書、契約書等)を保管する(5年)
「青色申告」の概略は、ご理解いただけましたか?
それでは、次ページで、申告書作成時に使う「経理用語」をインプットして、「会計ソフト」選びまで進みましょう。
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