Action! Report  No.2:アイディアを練る o.1

 
2.「事業計画書」を作成する手順
 2-2 アイディアを練って事業プランへ組み立てる


 
では、作成したチェック項目に従って、“アイディア”に検討を加えていきたい。
 

事業プランへの検討項目

1
事業の特徴(セールスポイント)は何か? 簡潔にまとめる。
1)動物キャラクターに特化したプロダクション。キャラクターデザインの登録・管理、及び版権、商品化権の企画販売を行う。
単にデザイン用途に対応するだけでなく、キャラクターを使用した商品の企画開発を行い、企画提案型の営業を展開する。
夢見るのは、ここから国民的(いや世界的な)アイドルを輩出すること!
検討課題
事業内容は、ライセンスの登録管理業務と企画販売業務になるのだが、インパクトのあるセールスポイントがうたえるような特色を付加しなければいけないだろう。
 

2
事業のターゲット(お客様)を具体的に挙げる。
1)広告代理店の制作部門/広告制作プロダクション
  メーカー企業の広告宣伝部門
 ・トレードキャラクター 
 ・コミュニケーション・キャラクター etc.
採用され人気を得ると、ノベルティーグッズ制作等への展開が期待される。
 

2)キャラクターグッズメーカーの企画部門
 ・文具 
 ・ファンシーグッズ 
 ・カード
 ・スーベニアグッズ(観光地のお土産) etc.
観光地のお土産、名産品の商品開発に“すき間”があるのではないかと考えている。
 

3)アパレルメーカーの企画部門
 ・子供服のキャラクター
 ・ブランド・キャラクター etc.
*例えば、大手スーパーや通販メーカーのプライベート・ブランドへアプローチしたい。
 

4)ゲーム制作プロダクション
 ・ゲーム・キャラクター etc.
検討課題
以上は一般的に想定されるターゲット。事業ドメインと合わせて、絞り込みをしていった方がいいだろう。市場調査の結果を見ながら検討していく。
 

3
商品やサービスを受けるメリットは何か? お客様の立場になってメリットを具体的に考えてみる。
1)プロダクション所属のタレント(著作権登録作品)の中からクライアントの要望を満たすキャラクターを選択できる。または、要望を満たすティストの作家を選出し、制作依頼ができる。

2)キャラクターデザインのみの提案でなく、マーケティングに立脚した総合的な視点からの企画提案が受けられる。
 
3)料金体系が明確になっている。
検討課題
事業企画の落としこみが足りない分、メリットがまだまだ弱い。
 

4
市場ニーズを数字でとらえる。 事業の市場環境を調査する 
バブル崩壊後、消費が低迷する中で、キャラクター商品市場は二桁成長をとげ、有望視されている分野といえる。
1)ライセンスの市場規模:約1300億円(1998)
2)キャラクター商品全体の市場規模:約2兆2000億円(1999)
キャラクターを使用しロイヤリティ(著作権料)が支払われた商品の売り上げの総額。(ポケモン及びハローキティで市場の3割をシェアしている。)

調査課題
市場データをどこで入手できるか。インターネットで調べた結果、以下の調査資料や図書がリストアップできた。しかし、この手のマーケティング資料は高額なのがネック。全てを購入したら、それけで数十万になる。そこで、図書館(図書館の活用)にないかと探してみたら、何冊かあることが分かった。(これはラッキー!)

●マーケティング調査データ(1資料:30,000〜100,000円)
1)「キャラクターブランドの市場戦略徹底分析('98〜'99)」/富士経済 
*国会図書館
2)「21世紀のキャラクター商品市場の戦略と展開」/キャラクターデータバンク
3)「CharaBiz年鑑2001」/キャラクターデータバンク
4)「キャラクター・ライセンシング白書2000年版」/綜合ユニコム
5)「2000年版 キャラクターライセンス調査年鑑」/矢野経済研究所
6)「ブランド&キャラクター調査1998」/ボイス情報 
*国会図書館

●業界及び周辺情報(市販書籍) *以下は、図書館(区立、都立)で検索したもの。
1)「キャラクタービジネス」/電通キャラクタービジネス研究会
2)「キャラクタービジネス」/土屋新太郎著/キネマ旬報社
3)「キャラクタービジネス」/PHP研究所
4)「コマーシャル・キャラクター」/安田卓矢著/誠文堂新光社
5)「アニメ・ビジネスが変わる アニメとキャラクター・ビジネスの真実」/日経BP社
6)「実践・キャラクター戦略」/叶井専著/ダイヤモンド社
7)「実践マスコット・キャラクター戦略」/安田卓矢著/グラフィック社

●その他
1)「ライセンスブランド&キャラクター名鑑/2000」/ボイス情報 
*都立中央図書館

市場データとして、以下の項目を調べておきたい。
1)ライセンスビジネスの市場規模推移
2)ライセンス分野別(商品化、広告販促等)市場規模推移
3)キャラクター商品全体の市場規模推移
4)商品分野別市場規模推移
5)キャラクター商品の販売効果
6)販売チャネル別キャラクター商品売上
7)ライセンスビジネスの市場動向

 

5
競合他社はどこか?      事業の市場環境を調査する

競合は、「キャラクター・ライセンスの登録管理会社」となる。インターネットで検索をかけると、ソニーグループや凸版等大手企業が、すでに企業力にものを言わせたWeb展開を開始していた。
また、インターネット上でコンテストを実施し、新キャラ輩出の登竜門へ成長させようというサイトを、大手商社や広告プロダクションが仕掛けている。
凸版が提携した(株)キャラクターライセンスシステムが、1万点を越す作品をデータベース化してWeb上で検索できるようにしているが、動物をテーマにした登録作品は125程度であった。(ここへの特化であれば、まだまだ対抗できるかな?)

●版権の登録・管理会社
キャラクター情報総合サイト「eCharaMekke!」
 運営:株式会社インタービジョン(ソニー系) eChara.com事務局(2000年〜)
トッパンキャラクター倶楽部「chara-kura.com」
 運営:凸版印刷株式会社 トッパンキャラクター倶楽部 (1999年〜)
 提携:株式会社キャラクターライセンスシステム(CLS)
 *1万3千点のキャラクターやイラストが無料で検索、閲覧できる。
「IMAGEBOX」
 
運営:株式会社イメージボックス(1980年設立)

●コンテストを実施しているサイト
漫画・アニメ-創造流通市場「キャラクター創世紀」(インパクパビリオン)
 運営:豊田通商株式会社
キャラクター・デビューの登竜門「きゃらコン」
 運営:株式会社日本レプコ

●その他
バンダイキャラクター研究所(キャラクター総合研究機関)
 運営:バンダイキャラクター研究所
 

検討&調査課題
上記に挙げたサイトは殆どが大手企業のもので、企業力ではレベルが違いすぎる。そこで、どう差別化というか独自性を打ち出すかが課題となる。
業界内で「キャラクター・ライセンスの登録管理会社」が、どの位の規模で何社ぐらいあるかを調査をする。
ドメインネームは、やはり“chara〜.com”という名称が多い。現在予定している“charapro.com”というのは非常に類似しているので、再考した方がいいかもしれない。(“柳の下のどじょう”は、3匹までというからね。)
 

6
競合他社との差別化ポイントを挙げる。
1)キャラクターデザインの質と量
やはり、パワーのあるタレント(著作権登録作品)を、どれだけ集められるかにかかってくる。
 
2)企画力
マーケティングに立脚した、企画提案力。
 
3)発注主が納得できる料金体系
ソフトの世界は、とにかく料金は不明瞭。そこをシステム化することを課題としている。
 
検討課題
独自性を打ち出すことで、差別化をはかっていきたい。
キャラクターを少数精鋭でいくか、リーズナブルな価格で質より量で勝負するか。これは、ターゲットやニーズによってくるだろう。この辺も、業界事情を調査する中で、判断していかなくてはならない。
 

7
商品やサービスの適正価格を割り出す。 相場の価格を調べる
調査&検討課題
価格に関しては、ハードな商品ではない分、かなり難しい。相場の価格を調べ、どの辺の領域で勝負をするかで、価格設定が違ってくるだろう。1つ前提にしているのは、誰もが納得できる料金体系を独自に創りあげたいということだ。
調査方法としては、業界の相場を調べる他、キャラクターデザインを手掛けている方へメールでアンケートを実施して、協力してもらおうと考えている。
 

8
事業を始めた時に想定される問題点、リスクを挙げる。
(この項目は今のところペンディング。)

 

現在の感想:
いやぁ〜まいった、という感じ。展開イメージを描いている時は、それなりに頭の中に事業のモデリングができているように思っていたが、(こうして、突っ込んだ質問に対し回答しようとすると)それがいかに表面的なものだったかということが、よく分かる。

しかし、課題や調べなくてはいけない事が明確になったので、この後の調査作業に目的がでてきた。ただ、市場環境や業界の実態を調べる作業は、思っていた以上に時間と労力がかかりそうだ。

プランニング作業というのは、頭の中でグルグルとアイディアを巡らしながら、情報やさらなるアイディアを得て、形づくっていくものなので、こうした作業は、常に繰り替えし行わなくてはいけない。まだまだ、プロセスの段階だ。
 


≪戻る