雇われない生き方を目指す人の必修科目! クリエイターのための自営学
 
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4. 知らないと損する著作権

マルチメディア、インターネットとデジタル技術の進歩で、著作権の重要性が日常化してきている。さらにアメリカからの脅威もあって、知的財産権に対する意識も高くなってきているようだ。どうも日本は、形あるものにはお金を払うが、形のないソフトには価値を見い出す才能に乏しい国だと思ってきたが、最近は良い傾向になってきたものだ。

この著作権、知的所有権の所有者になりうるクリエイターが、その知識にうとくてはいけない。そこで、以下のような項目立てで、サックリとアウトラインの知識をインプットしていただけるようにまとめてみた。

 4-1 著作権はクリエイターの財産!
≫4-1-1 著作権の対象となる著作物とはどんなものか
≫4-1-2 著作権によってどんな利益が得られるのか

 
※次ページ
 ≫4-2 著作権の基礎知識
4-2-1 
“マルC”って何?
4-2-2 こんな場合、著作権者はだれになるのか?
4-2-3 著作権の登録
4-2-4 著作権の保護期間
4-2-5 許諾が必要な著作物を利用する場合の手順
4-2-6 著作権の問合せ先一覧
4-2-7 著作物を自由に利用できるケース
4-2-8 知的所有権とは?

 ≫4-3 著作権は自分で守る
4-3-1
 著作権の管理

 

4-1 著作権はクリエイターの財産!

毎年高額納税者の番付が発表されると、前年ヒットを飛ばした(作詞、作曲を手掛ける)ミュージシャンが、上位にランクインしている。これは、CD製作したレコード会社から、その売上に応じて録音使用料や実演使用料が、作曲家、作詞家、歌手へ支払われるからだ。ミリオンヒットになれば、莫大な収入が得られる。映画やコンピュータ・プログラムの世界でも同様なことが言える。
著作権は、これらの創作者の利益確保の源となり、財産と呼べるものだ。

 

4-1-1 著作権の対象となる著作物とはどんなものか

著作権法では、以下のように定義されている。

著作物の種類 具 体 例
言 語 小説、脚本、論文等、文字で表現されたものの他、講演、対談、座談会などの口頭で伝達されるものも含む。
音 楽 楽曲及び楽曲を伴う歌詞等、音によって表現されたもの。
演奏、歌唱は実演として「著作隣接権*1」の対象となる。
舞踏・無言劇 バレエ、ダンス、パントマイム等の振付け。
踊りそのものは実演に該当するため「著作隣接権*1」の対象となる。
美 術 絵画、版画、彫刻、書、舞台美術、美術工芸品、漫画、劇画等。
工業製品のデザインは、「意匠権*2」の対象となる。
建 築 建物、塔、庭園、橋等の建造物。通常のビルや住居は該当しない。
図 形 地図、図面、図表、模型、建築や機械装置の設計図等。
映 画 劇場用映画、テレビ番組、ビデオ作品、CF等。
テレビゲームの映像も多くの場合、映画の著作物となる。
写 真 ジャンルは問われない。
プログラム コンピュータに対する指令の組み合せとして表現されたもの。

*1 著作隣接権:著作者を保護する著作権に対し、著作物を使用して事業を行う、実演家、レコード製作者、放送事業者及び有線放送事業者等を保護する権利を著作隣接権という。

*2 意匠権:特許庁へ出願申請し、意匠登録して発生する権利で工業所有権に属する。新規性、有用性、創作性が審査される。

 

4-1-2 著作権によってどんな利益が得られるのか?

著作権の財産的権利には以下のようなものがあり、各権利料を得ることができる。
また、著作権には、著作物の使用にあたり著作者の意に反した使われ方をされないよう、人格的な面を保護するための著作者人格権*3がある。










複 製 権 印刷、録音、録画その他の方法により複製物を作る権利。
上演権・演奏権 公に、上演、演奏を行う権利。
放送権・有線送信権 テレビやラジオによる放送又は有線送信する権利。
口 述 権 朗読その他の方法で口頭で公に伝達する権利。
展 示 権 美術、未発行の写真の原作品を展覧会等で公に展示する権利。
上映権・頒布権 映画を公に上映したり、販売・貸与する権利。
貸 与 権 映画以外の著作物を公衆へ貸与する権利。
翻 訳 権
編 曲 権
変 形 権
翻 案 権
新たな創作行為を加えて二次的著作物を創作する権利。
翻訳:著作物の言語と異なる言語に表現すること。
編曲:楽曲に新たな創作性を加えて改作すること。
変形:他の表現形式へ変更すること。
翻案:脚色、映画化等のように、基本的なストーリーやモチーフを維持しつつ、具体的な表現形式を変えること。
二次的著作物の著作者は、翻訳者や編曲者となる。
二次的著作物の
利用権
原著作物の著作者は二次的著作物の利用に関する権利を持つ。
二次的著作物の利用に際しては、二次的著作物の著作者と原著作物の著作者の許諾が必要となる。






*3
公 表 権 未公表の著作物を公表するか否か、公表する場合の時期、方法等を決定することができるという権利。
氏名表示権 著作物の原作品又は複製物が公衆に提供、提示される際に、著作者の氏名を表示するか否か、又はどのような名義で表示するかを決定する権利。
同一性保持権 著作物の同一性を保持し、著作者の意に反して他者が勝手に改変できない権利。

*3 著作者人格権:著作者の財産的権利は、財産権として譲渡又は相続できるが、人格権は他人に譲渡できない。(ただし、財産権の権利譲渡契約等において、人格権を行使しないという特約をする場合もある。)
著作者人格権は、著作者が生存している間は著作者に帰属し、死後においても、生存していたならば人格権の侵害となるような行為をしてはならないと著作権法で定められている。

 
<参考文献>
・「著作権法ハンドブック」文化庁文化部著作権課内著作権法令研究会編著 社団法人著作権情報センター
・「著作権が明解になる10章」吉田大輔著 出版ニュース社
・「知って得するソフトウェア特許・著作権」古谷栄男/松下正/眞島宏明著 アスキー出版局
・「マルチメディアの著作権入門」宮下研一著 前田哲男監修 PHP研究所

 

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