1)子供から大人、世代間コミュニケーションとしての商品開発
人気ランキングを見ると、ダントツ人気を二分する“ハローキティ”は、女子児童対象から大人へ年齢層を拡大、“ポケモン”は、男子児童に限らず、女の子にも人気のキャラクターとなって、年代、性別の垣根を超えたキャラクターが上位にランクインという結果となっている。
キャラクター商品市場においても、今後最も大きな課題が少子化だが、打開策は子供だけでなく大人も視野にいれた商品開発やマーケティングを行うことにあるといえる。
99年度「キャラクター商品購入動向調査」による
キャラクター・ランキング ベスト15
順位 |
キャラクター名 |
ベスト10の
主な購入理由 |
(%) |
1 |
ハローキティ |
可愛い |
17.05 |
2 |
ポケットモンスター |
おまけがついてくる |
16.68 |
3 |
ミッキーマウス |
可愛い |
6.33 |
4 |
くまのプーさん |
可愛い |
4.59 |
5 |
ドラえもん |
おやつ |
4.01 |
6 |
スヌーピー |
可愛い |
3.88 |
7 |
たれぱんだ |
可愛い |
3.16 |
8 |
アンパンマン |
おやつ |
2.17 |
9 |
ミッフィー |
可愛い |
1.79 |
10 |
ウォレス&グルミット |
欲しかった |
1.50 |
11 |
デジモン |
|
1.44 |
12 |
ドナルドダック |
|
1.40 |
13 |
ピングー |
|
1.26 |
14 |
遊戯王 |
|
1.05 |
15 |
ウルトラマン |
|
0.96 |
資料:「21世紀のキャラクター商品市場の戦略と展望」(株)キャラクター・データバンク より
人気キャラクターに共通するものは何か? それは、“可愛い”。人は、可愛いものを見ると思わず笑顔になる。笑顔になると言うことは、それによって“幸せな気分”になれるということだ。可愛いキャラクターには、人が普遍的に求める“愛する心地よさ”があるのだ。そうすると、大人へさらにシニア層へ、キャラクター展開を図ることは、十分に考えられることだ。
2)次なる市場「シニア・マーケットへ」のアプローチ
キャラクター業界にとっても、次の市場として注目しているのは、可処分所得が高く元気なシニア・マーケット。55才以上のシニア層が総人口に占める割合は、2000年時点で30.2%だが、2005年には34.2%、2010年には36.5%と徐々に大きくなっていく。第1次アニメ世代(30代半ば〜40代半ば)が、シニア層に突入していくと、子供や孫のためのキャラクターではなく、“自分のための”キャラクター商品を購入する可能性は高くなると予測している。
例)こうした状況に先駆け、サンリオが高齢者・介護用品向け新ブランド「ハローキティ コミュニケア」を立ち上げている。また、ディズニーでもシルバー市場への参入の必要性を表明しているという。
3)今後成長が見込めるキャラクターのジャンルは「TVゲーム」「オリジナル」
綜合ユニコム株式会社が1999年に実施したアンケート調査結果(ライセンサー84社)によると、今後、成長の可能性のあるキャラクターのジャンルは、「TVゲーム」「オリジナル」がそれぞれ43.5%で「テレビ」を上回る回答を得ている。
最も成長が見込めるプロパティ・ジャンル
資料:「キャラクター・ライセンシング白書2000年版」綜合ユニコム株式会社
より
今後成長が注目されるキャラクターのジャンルとして、同率一位に「オリジナル」が挙がっている。これは“たれぱんだ”の大ヒットによる影響が、かなりあるのではないだろうか。これまでマスメディアによって知名度&人気を獲得したキャラクターでなければ商品化権ビジネスは成立しないという常識が、くつがえされたからだ。これは、新規参入に可能性を与えてくれる。
また、“たれぱんだ”の成功事例は、市場ニーズを再発見し、これからのマーケティングに大いに貢献してくれたと思う。キャラクターに求めるもの、キャラクターが果たす役割を見直すことで、時代性に合った新たな商品コンセプトが生まれてくる。
さらに、“可愛いイラスト”と“キャラクター”の違いを、“たれぱんだ”は明確にしてくれている。“たれた”ポーズに表現されたキャラクターの持つ世界観がしっかりとしていること、キャラクターのバックグラウンドがしっかりと伝わってくること、これが、優れたイラストと違う点だ。そこへ私たちは共感する。キャラクターづくりの極意を教えてもらったように思う。
4)今後のライセンス・ビジネス市場の成長率
3)と同様のライセンサー企業へのアンケート調査(1999年実施/綜合ユニコム株式会社)によると、1999年度の前年比売上高の伸び率は7割強の企業でプラス成長をとげ、今後の見通しも約6割の企業が成長していくと回答している。
1999年度売上高の伸長率の見込 ライセンス・ビジネス市場の将来展望
資料:「キャラクター・ライセンシング白書2000年版」綜合ユニコム株式会社
より
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