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3. リスク管理のための契約書

 3-1 親しき仲にも紙一枚!
≫3-2 契約書作成のポイント

 

3-1 親しき仲にも紙一枚! 

企業と直接取引を開始する、または、大きな仕事を受注して外部委託により制作をする等という場合には、口約束だけで仕事を進めては大変リスキーだ。日本の商習慣には、まだまだ欧米のような合理的な発想が乏しいため、契約書等の文書での取りかわしを積極的に行わない。

しかし、両者の間に、理解や解釈の誤差があった場合は、後々トラブルを生むことになる。言った言わないというレベルのトラブルを未然に防ぎ、仕事のツメをきっちりやるという意味からも、取引内容の文書化、契約書の取り交わしを是非お勧めする。

文書の取り交わしを標準化したいもの
発注書
仕事を依頼されたら、必ず「発注書」を発行してもらう。「業務委託契約書」を締結するまでもない業務内容のものは、「発注書」でOKだ。
もし、そのような書類フォームがないと言われたら、「受注書」を自分で作成して捺印してもらうとよい。
納品書、受領書
制作アップして納品しても変更や直しなどがあるため、最終的な納品完了を確認するため、また、通信によるデータ納品の場合の受領確認のために、「受領書付きの納品書」を作成しておきたい。
議事録、確認書
取引条件や業務内容、責任範囲などの取決めを話し合う打合せでは、「議事録」を作成し、決定事項をその都度、お互いに確認しておくとトラブルを防げる。(2部作成して、相手側へ1部提出)後に契約書を作成する場合は、この内容を条文にしていく。
また、「契約書」というのが仰々しい場合は、同じ内容を「確認書」と題して作成しても、(その実)効力は変わらない。

 

3-2 契約書作成のポイント

契約とは、当事者間の法律的な拘束を受ける約束事であり、当事者双方の意思の合致によって成立する。その約束事の内容を明文化したものが契約書である。

ここで申し上げたいことは、契約書を作ること自体が目的ではなく、あくまでも仕事上の取引を双方に誤解のない形でスタートさせるためのツメの作業であって、そこで確認、取決めたことを文書化して、お互いが再度確認することにある。

契約書作成のポイント

契約書の形式、内容は原則的に自由
契約書の内容にどのような項目を盛り込むかということは、当事者の自由意思にまかされているので、双方が合意に達した事項を文章にまとめればよいことになっている。
とは言え、契約書の体裁には一般的な型があり(下記の
<契約書の一般的な体裁 >を参照)、契約内容によって基本的な条項があるので、契約書のひな形を参考にしていただきたい。
しかし、契約書の効力が発揮されるのは、双方の利害関係が一致しなくなる時なので、契約を結ぶ段階で起こりうるあらゆるトラブルを想定して、それに対処するための条項を明文化しておくことも必要となる。
ただし、まだまだ日本では、契約不履行を前提に契約書にあまり細かい条項を書き込むと、相手側に不信感をあらわにするようで気まずい雰囲気をつくり出しかねない、というのも現状だ。仕事の受発注は、基本的に信頼関係の上に成り立つものだから、双方が合意した内容を相互理解する手段としてとらえたい。
発注側の取引条件の確約のみならず、受注側のペナルティもキチンと打ち出して、フェアで前向きな仕事態度をアピールしておこう。

契約書の書き方のポイント
・何についての契約なのかを念頭において、基本事項をおさえる。
・条項には、色々な解釈が成り立つようなあいまいな表現はさける。
・各条項の内容に矛盾が生じないないようにする。
契約書の日付にはいつを記入するのか
契約が成立した日と契約書を作成した日と調印をした日とは一致しない場合がある。一般的には、契約書内の日付には、調印した日付を記入する。
契約成立日から時間が経過している場合には、契約書内の条項に「甲と乙とは、平成◯◯年◯◯月◯◯日、以下の内容による契約を締結したことを確認する。」等と入れておけばよい。
契約書への捺印
通常契約書への押印は、印紙への消印、署名のあとの押印、複数ページの場合の契印の他契約書の余白にする捨て印というのがある。これは、あらかじめ押す訂正印の意味をもっており、後で契約文の誤りや訂正部分の修正をする権限を前もって与えるという習わしからきているそうだ。悪用される危険性もあることから、捨て印は安易に押さない方がよいと言われている。
契約書の一部訂正
条項の一部を訂正する場合は、訂正箇所の文字を二重線で消し、訂正文字を記入する。欄外の余白に、「削除◯字 加入◯字」と明記し、その文字の上に、契約当事者双方が調印に使用した印で押印する。
契約内容の変更
当事者間で変更内容に合意すればよい。変更部分を明文化し、「合意書」などの文書を作成し、契約書と同様に当事者双方が調印する。手間をおしんで、口頭だけで変更内容を確認することのないように。
覚 書
一般的には、基本的な契約内容は契約書に定めておいて、それに付帯する事項について別途取決めた場合とか、後日契約内容を変更して修正された内容とかを「覚書」として記しておく。
また、「覚書」は、当事者間の合意内容を表す簡単な合意書という意味にも使われている。この場合にも、当事者が署名(記名)押印をし、契約書と同等の役割を果たす。
契約の解除
当事者の一方が、あらかじめ契約書に記載した解除事由に該当する場合や、契約違反を行った場合には、契約を解除することができる。契約解除をする場合も、その旨を文書にし、双方が調印をしておく。

 

契約書の一般的な体裁

    ┌──┐         
収入      表題◯◯契約書
印紙■消印
└──┘
印紙税の定めにより、契約書の種類に相当する額の印紙を貼る。
契約書の調印に用いた印で消印をする。


当事者がどんな内容の契約をこの契約書で結ぶかを記す。
前文:◯◯(以下甲という)と◯◯(以下乙という)とは、◯◯に関して、次の通り契約する。

契約内容は関連する項目をまとめて、条・項・号の形式で記載する。
条文ごとに見出し(確固内に)をつけると分かりやすい。
契約内容:第1条(◯◯) .........
第2条(◯◯) ......................

■契印 
契約書の用紙が2枚以上にわたる時は、  
調印に用いた印で各用紙の間に契印を押す。

  ★普通、契約内容の後に以下のようなまとめの文を記載する。
後文:上記契約の成立を証するため、本契約書2通を作成し、甲乙各1通を保有するものとする。

  通常は、契約書に調印した日を記入する。
日付:平成◯◯年◯◯月◯◯日

個人事業主:住所、氏名。又は、屋号と代表の肩書を加える。
法人:住所、法人名、代表者の肩書、代表者名を記入し、捺印する。
当事者の表示: 甲 住所
◯◯株式会社
代表取締役社長
◯◯ ◯◯   
■捺印

              乙 住所
◯◯(屋号)
代表
◯◯ ◯◯   
■捺印

  

 

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