雇われない生き方を目指す人の必修科目! クリエイターのための自営学
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第3部 展 開 編

第1章 アイディアをビジネスに組み立てる



 

1.「事業計画書」に挑戦!--計画力の養成

本書の「まえがき」に書いたように、私が独立した理由は、“本当に自分がやりたい事、好きな事を仕事にしていきたい”という強い願望があったからだ。そして、私にとっての「独立の成功」とは、自分の個性や能力を生かすことができ、かつ、そのことで社会から受け入れられる(⇒誰かの役に立つこと。これって、まさに生き甲斐。)ことだ。

これまで、ラジオ番組に始まり、販売イベント、広告媒体、商品開発等の企画にたずさわってきた。そして、そろそろ「何でも企画屋」から、自分の得意分野に特化していく時期を迎えている。そこで昨年、後半の人生をみすえて、向こう3年の仕事方針を立ててみた。この方針において計画した事業プロジェクト案の1つが“CharaPro.com(仮称)”で、この事業アイディアを実現させていく過程を、「第3部展開編」のテーマとしていこうと思う。

過去の体験をまとめた第1部、2部と大きく違うのは、第3部は、これから起こることをリポートしていこうという試みなので、今後いかなる“展開に?”という楽しみが、筆者自身にもついてくることだ。

 1-1 「事業計画書」は何のためにつくるのか
≫1-2 「事業計画書」とは何か
≫1-3 “上手な計画を立てるコツ”を学ぶ
≫1-4 “計画倒れ”に終る計画書の共通点とは?

 

1-1 「事業計画書」は何のためにつくるのか

「事業計画書」をつくるということは、自分の考えやアイディアを整理し、事業内容の要素を充分に検討して、実現可能なプランへ組み立てていく作業、ということになる。この計画書が完璧に仕上がれば、実行する前にその結果を引き出せたも同然ということになる。勿論、“やってみなくちゃ分からないでしょ?”と言いたいが、しかし、良い計画書というのは、“分からないこと”にこそ一生懸命取り組み、充分に調べ検討を加えて、予測を導き出す、というものだ。

「事業計画書」を作成する目的
1. 自分の考えやアイディアを整理する。
2. 事業内容を具体化する。
3. 事業立ち上げへのプロセスを明確にする。
4. 事前に検証することで、無謀な失敗を未然に防ぐ。
5. 事業パートナー、有能な人材を確保する。
6. 資金調達(金融機関、投資家、ベンチャーキャピタル等)

事業企画は1人のアイディアからスタートしても、その実現へ向けては多くの人たちが関わっていくことになる。ビジネス・パートナーも必要になるだろう。周囲の人たちへ事業内容を説明し協力者を増やしていく際にも、計画書が役に立つ。

また、事業資金として金融機関からの融資を受けたり、株主として出資してもらう時には、この「事業計画書」が絶対に必要となる。事業資金を借りるためだけではないが、第3者を納得させるだけの説得力を持っていることが不可欠だ。

 

1-2 「事業計画書」とは何か

「事業計画書の書き方・まとめ方」(増木清行著)という本の中で、「事業計画とは何か」を解説したページに、以下のイメージがのっている。これを見て、筆者は<現状>と<事業ビジョン>との開きの間にある<脳力のギャップ>という言葉に注目した。そして、発見をしたような気分になった。

なぜかというと、「事業計画」というものは、現在、事業を実現できる能力や資源を所有しているかどうかではなく、描いた将来の事業ビジョンへ向けて、必要となる能力や経営資源をどう調達し得るかということを明らかにするもの、と解釈できたからだ。

つまり、極端なことをいうと、経営資源(人・モノ・資金)を現在持たずとも、事業アイディアを具体化するノウハウがあれば、夢のような事業も実現できる可能性があるということだ。

とかく、私たちは、目の前の現実にとらわれて出来る、出来ないを判断して自己規制してしまいがちだ。しかし、ここで「事業計画とは、夢を実現するためのシナリオ(実行計画)」という言葉が、勇気と元気を与えてくれる。

そう考えると、大きな夢を掲げて、それを実現させるための計画を考えるのは、けっこう楽しい作業になりそうだ。


※「事業計画書の書き方・まとめ方」増木清行著 ぱる出版 1999 より

 

1-3 “上手な計画を立てるコツ”を学ぶ

「事業計画書」を実現へのシナリオとするために、ここで“上手な計画を立てるコツ”を学び、“計画力”(目標達成までのプロセスを手順に分解して、無駄なく処理する力)を養成しておこう。

上手な計画を立てるコツ
計画目標をできるだけハッキリさせ、しかもしぼり込むこと。
一つの計画にはできるだけ一つの目標だけを設定すること。色々な目標を処理しようとすると、計画が立てにくいばかりでなく、実際の行動に当たって、どの目標を優先させるかが不明になってしまう。
計画の制約条件をできるだけハッキリさせておく
計画の制約条件は、できるだけ具体的に、モレのないようにしっかりとらえておく。
計画内容の要素は、事前調査で充分に集めておく
先ずそれらの調査、資料集めをスケジュール化するところから作業はスタートする。
実行時の効果を考えて、やり方や手順の比較検討を行い計画を練り上げる
計画で設定した目標に対して、どんなやり方で実行するかの手順を考える。手順ができたら、もっと簡単に、少ない人数で、費用・時間等を節約する方法はないか充分に検討して、計画の練り直しを行う。
数字的な表現を忘れずに
計画内容の各項目の説明は、できるだけ数字的表現をすることがよい計画の条件である。あいまいな概念的表現は避ける。目標を数字化する努力をすること。
計画にチエとアイディアを盛り込む
すぐれた計画は、一見平凡に見えてもその内容には優れたチエや発想が盛られている。計画そのものを“企画化”するためのアイディアが重要となる。良いチエやアイディアを得るために、探索する努力と見つかるまで探す執拗さを身につけてほしい。
しかし、計画をまとめる段階では、あれもこれもとアイディアを欲張らず、思い切りよく見切り、あきらめること。
★確かに、独創性に富んだビジネスモデルを考えるには、誰もが簡単に得られる情報の収集だけでは、おのずと限界がある。脚を使った取材とか、ひらめくまでの探究心が不可欠だ。
長期(数カ月以上)の計画や目標レベルの高い計画には、中間目標を設けると良い
日本人は締切り民族(?)と呼ばれ、最終締切り日の直前になって急にハッスルし出す傾向をもっている。中間目標を設定し、中間締切り時間を設けた計画にすると、その回数だけ努力するから、成果も高まるという原理である。
★なるほど。締切り型は業界人の特性だと思っていたが、日本人の習性とは知らなかった!
予測が難しく、やってみなくては分からない計画ほど、慎重に練り上げる
予測が難しい課題、どうしていいか見当がつかないテーマほど、全力をあげて計画に取り組むことが大事。やってみなくては分からない計画ほど、慎重に練り上げた計画としなければならない。結果の予測がむずかしい時ほど、下限目標計画から努力目標計画まで、何通りかの計画をつくることを考えなければならない。
★計画倒れにならないためには、ここで頑張っておかなければならないのか...。
計画書は分かりやすく視覚的にみせる
分かりやすく、できるだけ目で見て楽しく理解できものほど“よし、この計画を実現しよう”という気が起こる。分かりやすくするコツの一つは、できるだけ“視覚的”に仕上げること。これは、納得できる“説得力”のある表現という点からいってもベターだ。
10 主要条件の変化に対しては、必要な修正を行う
計画は、実行段階に入ったら修正しないことが原則であるが、計画の主要条件に変化が起きたときは、ただちに現計画を破棄・修正して、現実に見合った代替計画に移行する。そのためには、計画段階で、色々な事態をなるべく正確に予測して、柔軟な計画を練っておかなければならない。

※「ハッキリ差が出る 計画のたて方 実行のしかた」江川朗著 日本実業出版社 1989 より

 

1-4 “計画倒れ”に終る計画書の共通点とは?

失敗から学ぶ成功術ということで、“計画倒れ”に終る計画書に共通するポイントをチェックしておきたい。

こういう計画が“計画倒れ”になる!
目的が欲張りすぎている計画
焦点がしぼれている計画は分かりやすいし、説得性も高く、実行が容易である。ところが、目的が欲張っていると、分かりにくい計画となり、したがって説得性も低くなる。
目標が高すぎる計画
特別の根拠もなしに、高い目標を設定し、計画内容は“やればできる!”というような抽象的なものだと、最初から達成不可能という不安感が先行して、結局、計画倒れを招いてしまう。目標は、常識的な線より一歩上回ったあたりがちょうどよいといえる。
時間割付があいまいな計画
実行計画の場合、いつまでにやるのか、中間締切をどう設定するのかといった“時間要因”がきわめて大切である。これがあいまいだと、未達に終るケースが多い。
ひとりよがりの計画
論理が飛躍したり、手順がひとりよがりだったりという計画は、たとえ実行されても、よい結果が出せない。
資金や人員の裏付のない計画
事業計画は、お金や人員を必須条件とする。ところが、実際には、計画案に肝心の資金、人員が触れられておらず、いざ実行というときに、暗礁に乗り上げてしまうことが多い。計画実行に要する資金や人の予測は、充分に盛り込まれていなければならない。

※「ハッキリ差が出る 計画のたて方 実行のしかた」江川朗著 日本実業出版社 1989 より

上記のNG計画を反面教師にすると、実現できる計画を立てるには、次のようにすればよいということになる。
「目的をしぼりこみ、目標は“よし、挑戦してやろう!”と思えるレベルに設定し、実行計画に中間締切りを設けながらしっかり時間を割付け、周囲の人が同意できるような内容を組立て、資金や人員計画をしっかりとやっておく。」

計画が甘いと、結果的に計画倒れとなる。以上のことを頭によく入れて、計画書作成に取り組んでいきたい。

 
<参考文献> ※予備知識を得るための教科書とさせていただきました。
・「はじめての独立開業」小久保達著 日本経済新聞社 2000
・「ハッキリ差が出る 計画のたて方 実行のしかた」江川朗著 日本実業出版社 1989
・「事業計画書の書き方・まとめ方」増木清行著 ぱる出版

 

■ちょっと追記:「天職」探しのプロセスとは?

「天職」を見つけられた人って幸せだと思う。では、「天職」ってどうやって見つけたらいいの? と聞きたくなるが、その質問に非常に明確に答えてくれている文章があったのでご紹介したい。事業計画が、是非「天職」を実現させるものであるために。

「天職」探しへの4つの要素!
好きなこと得意なこと求められていること喜びを感じられること
1.“好き”かつ“得意なこと”が ⇒「適職」
2.「適職」かつ世の中から“求められていること”が ⇒「最適ビジネス」
3.「最適ビジネス」かつやっていて“喜びを感じられること”が ⇒「天職」

ということで、

「天職」とは?

              ●自分の力が最も発揮できる仕事
●「量」より「質」を重視したくなる仕事     
●やりがいを感じられる仕事           
●時間を忘れて没頭できる仕事          
●就いていられることに喜びを感じられる仕事   

ということになる。

 *「はじめての独立開業 日経文庫Personal小久保達著/第2章 最適ビジネスに分野を定める より。
(是非読んでみて下さい。)

好きなことを仕事に選んで独立したからといって、それで全てクリアできる程、世の中は甘くない。どうせ、自らリスクをしょって仕事をすることを選択したのだから、それを「天職」まで高めていきたい。仕事をすることに喜びを感じて、さらに自分を成長さていく意欲につながっていったら、こんな幸せなことはないと思う。

 

 

 


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