雇われない生き方を目指す人の必修科目! クリエイターのための自営学
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3. 自営計画書を作成しよう! 独立して仕事をスタートさせる前に、是非シミュレーションとして、以下の計画書を作成しておこう。自分の仕事を数字で掴んでいるかどうかは、大変重要なことだ。とかく、物づくりを本業とするクリエイターは、数字より、いかに良いものを作るかに視点を合わせてしまうが、先にも述べたように「個人事業主」になることを忘れちゃいけない。 特に、会社を作ろうと考えている方は、頑張って作成しよう。 3-1 原価計算に学ぶ自分の値段のつけ方 3-1 原価計算に学ぶ自分の値段のつけ方 私は長年、料金表がないこの業界の仕事のやり方を不思議に思ってきた。それに、クリエイティブの仕事も、もう言い値でやる時代ではないと思う。クリエイティブな仕事にも「適正価格」があり、それを割り出す原価計算の方式があってよいはずだ。 しかし、クリエイターの仕事は、頭の中に出来上がったイメージを何らかの形に表現する作業だから、一般の商品を作る作業と違い、原材料費などの仕入経費がないために計数化しにくいのが特徴だ。(*裏付けのある数字で価格を付けている方がいたら、是非教えて欲しい。) では、ケーススタディとして、広告クリエイターの仕事の原価を考えてみたい。
そして、これに利益を加える。(利益の中から固定費を支払うことを忘れないように)利益計算は後述しているので、参照して欲しい。 では<原価+利益=適正価格>となるよう、自分の商品の値段をつけてみよう。ここで付ける値段は、あくまでも基準で、受注時に仕事内容に合わせた見積をする。 個人で仕事をしていこうとすると、競合他者との差別化から安いことを売りにしてしまいがちだ。利益を度外視して、安い値段で仕事をしていくと、いつまでたっても資金力が出来ず、悪循環になる。ソフト業界に薄利多売は不可能。なぜならば、自分の体は1つ、1日は24時間。寝ないで仕事しても限界があり、薄利では、人を使えば赤字となるからだ。 3-2 固定費(仕事をしなくても毎月出ていくお金)を算出する ここで、毎月支払っている費用や最低生活費の合計を計算しておこう。 固定費の計算 単位:円
3-3 年収を決める では、年収を決めよう。独立すれば、年収だって自由に決められる。先ずは生活費確保の300万円、次はプロ級の500万円レベル、最終的には1000万円を目指す!、とか。 “仕事がいつ来るか分からないのに、年収だなんて”と思う方がいたとしたら、ゲットできるかどうかはやる気しだいと言いたい。仕事はいつ来るか分からないし、売上は成行きで仕方ないと考えていると、収入はいつまでたっても安定しない。 目標を設定すると、次に、そこへ到達するために、何をどうしらたよいのかと、具体的な「行動計画」を立てる。その計画は、今日何をしたらよいのかを、導き出してくれる。仕事の依頼を運にまかせてひたすら待つ人と、受注するために今日を積極的に活用する人とでは、大きな違いが生まれてくる。 年収を決める時に大切なのは、本当に実現したい目標金額をあげることだ。絵に書いただけの希望金額ではいけない。 3-4 利益計画を立てる(いくら儲けるか! 楽しい計算♪〜) 個人事業主の事業利益とは、売上から必要経費を引いた全てが利益となる。この利益計算を表にしたものを「損益計算書」という。青色申告者は、1年間の売上げと経費を集計して、決算書を作成し税部署へ提出しなければならない。そこで、この「損益計算書」のフォーマットに従って、「見積損益計算書」つまり「利益計画表」を作成してみよう。 3-3で計画した向こう3年間の年収目標と、3-2 で算出した月額の固定費の数値を参考にしながら作成してみよう。ここでは、自宅を事務所にした場合で算出している。赤字が出る場合は、経費を押さえるか、売上を上げるか、外注費を削るかの3つの方法しかない。現実的な数値をはめ込んで、バランスをとってみよう。 さらに、事業所得額に対して翌年支払うことになる、「所得税」「事業税」「住民税」「国民健康保険料」等の金額をつかんでおこう。この税金と保険を差引いた金額が、手元に残るお金(=利益)となる。
*1 家賃、水道光熱費などの経費は、家事使用分を除く金額が必要経費として認められる。 3-5 売上計画を立てる だいぶ、仕事の数字的イメージが具体的になってきただろうか。これで、業務内容を明確化して値段を付け、年収を設定、経費をつかんで、利益を確保するところまでを終えた。最後に、何をどれだけやったら、目標の年収が稼げるかを考えておこう。 先ず営業のセオリーとしては、いかにレギュラーの仕事を確保して売上を安定させるかにある。固定費をカバーする売上を、なんとかレギュラーの仕事で稼ごう。すると気分的にも非常に楽になる。多少リスクはあるが、単価の高い単発仕事に、ボーナス気分でチャレンジする余裕も生まれてくるというものだ。 例えば、固定費の200万を年4企画(単価30万)の会報誌の企画制作とA社の年2回のダイレクトメールの企画制作(単価40万)で売上げるといった感じである。 3-6 “夢”を描こぉーー! 目標を達成するために、行動していく原動力となるものはなんだろう。それは、自分が描いた“夢”を、実現させたいと思うエネルギーだ。 初めは皆、いろんな夢を抱いている。しかし、やっていく中で、仕事がなかなか取れなかったり、トラブルにあったり、失敗が続いたり、貯金が心細くなったり...。すると、不安に落ち入り、自信をなくしてしまうのである。大事なのはこの時、「初心忘れるべからず!」、夢を実現させたいという熱い気持ちを思い出そう。きっと、再び立ち向かっていく元気を取り戻せるだろう。 それから、大きな夢の実現の過程には、比較的実現可能な小さな夢をいくつも設定しておくといい。一つ手に入れると自信がつくし、成功体験となって、次へのチャレンジの気持ちが高まっていくからだ。
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